いつでも微笑みを

体を壊してやりたいこともなくなってしまったから、自分が思っていることを伝えたいことをとりとめもなくかいていくよ。

【読書感想】君死にたもう流星群2/松山剛【気がついたその時がスタート】

「人生の経験値は、成功でも失敗でも手に入るんだ」

 あらすじ

俺さ――高校、やめようかと思うんだ
前代未聞の人工衛星テロ『大流星群』。そこで命を落とした天野河星乃を救うため、平野大地は八年前の世界にタイムトラベルする。星乃を狙う謎の悪意エウロパを撃退し、望む未来に近づいた大地。だが、過去を改変した結果、親友たちの運命までも変えてしまう。涼介と伊万里が結ばれるはずだった運命は分岐し、医者になるはずだった涼介は高校に意味を見いだせず自主退学を決意する。そんな中、人工衛星の消失事件が相次ぎ、そこに網膜アプリの開発者『六星衛一』が登場、さらには『天野河星乃』を名乗る、成りすましSNSアカウントも現れ――。各所で話題沸騰! 『夢』と『宇宙』がテーマの感動巨編第二弾!

公式サイトより引用

感想

 学生の時って一生懸命やってるとなんだかたたかれる事ってありませんか。何こんな事にマジになってるのって言われたりして。そんな人放っておけばいいのだけれど、関わらないようにするとクラスで孤立してしまうことも。今思えばとても馬鹿馬鹿しい事なのですがこと日本人は、はみ出す人に厳しい気がします。今後他人叩きはますますひどくなっていくのかな…そんなことしたって寂しくなるだけだと思うのは私だけなんですかね。

 2巻は主人公大地の友人涼介のお話を軸として進んでいきました。1巻で伊万里の事故を防いだ結果、涼介の人生が変わってしまうのを軌道修正しようとするのだけどうまくいかず悩む大地。少しだけ心を開いてくれた星乃ともちょっとした勘違いからすれ違ってしまいます。大地は今まで「コスパが悪い」という自分を誤魔化し薄い関係しか築いてこなかったからこんな時どうしていいのか分からない。そんな時に主人公を救ってくれたくだりが良かった。主人公はレベルが低いのに逃げ続けて最後のボスにたどり着いたRPGみたいと言われるのですが、これがかなり的を射ていて、目から鱗というか確かにそうだなって妙に納得してしまったのですよ。パーティメンバーの危機だけじゃなくて大切なプリンセスも救えない。でもゲームと人生は決定的に違っていることがあると続きます。ゲームは失敗したらペナルティがあるけれど人生は失敗しても経験値が詰まれていく。人間は失敗してもそれを繰り返さないようにすることが出来るのですよね。失敗をしてクリアに近づくことができる。失敗しなければずっとそのままなんだと。人生いきなり成功することもあるとは思います。しかし圧倒的に失敗することの方が多いのでは無いでしょうか。主人公は今まで失敗を恐れて逃げていたから圧倒的に経験値が不足していたんですね。そこに気がつけばあとは実践あるのみです。伊万里の「エイッ!」って「ジャンプ」して飛び込めばいいというアドバイスと相まって主人公がどんどん変わっていく姿をみて、頑張れ!頑張れ!と熱い気持ちがこみ上げてきました。

 主人公はそうして少しずつ変わっていきます。すると星乃のとの関係が改善されたり、ラストで退学するつもりの涼介を引き留めることに成功します。自分が変わって他人も変わる。そんな変わった人を見てまた自分も変わっていく。こういういのがお互いを高め合っていくって事なのかな。それはとても素敵なことだと私は思います。以前コスパが悪いと言っていた主人公の姿はそこにはもう有りませんでした。

まとめ

 1巻を受けて2巻では新しいキャラクターも登場しより話が膨らんできました。事件の真相に少しずつ近づいているし、ラストはかなり意味深な終わり方をしています。主人公達の成長を見守るのと同時に、事件の真相はいったいなんなのか。これらは次の巻で答え合わせされるのか。本作は非常に読みどころが多いですね。早く次の巻が読んでみたいと思わせてくれるお話でした。