いつでも微笑みを

体を壊してやりたいこともなくなってしまったから、自分が思っていることを伝えたいことをとりとめもなくかいていくよ。

【不器用だっていいんじゃないかな】そして、君のいない九月がくる/天沢夏月

「オマエサエイナケレバ」

 高校時代の自分って

  誰にでも人生で一度くらいは家出をしたいと思ったことがあるのではないでしょうか。

 私も高校生の時、学校の同級生と馬が合わず、当時聞いていたラジオのリスナーのつどいで知り合った先輩から紹介してもらった大学の先輩(なんか書いていてとても複雑だなと思いました。まぁ友達の友達みたいなものです)の家に泊まって家にほとんど帰らないという生活をしていた時期がありました。

 私の両親は放任主義なのか分からないですが、そんな私を放っておいてくれて、今思えばとても心配していたのでしょうが、同時にとてもありがたかったなと感じています。

あらすじ

「その夏、恵太が死んだ。

 幼いころからずっと恵太と一緒に育った美穂と、仲良しグループだった大輝、舜、莉乃たちは、ショックから立ち直れないまま呆然とした夏休みを送っていた。

 そんなある日、美穂たちの前に現れたのは、死んだ恵太に瓜二つの少年、ケイ。

「君たちに頼みがある。僕が死んだ場所まで来てほしい」

 戸惑いながらも、美穂たちは恵太の足跡を辿る旅に出る。

 旅の中でそれぞれが吐き出す恵太への秘めた想い。嘘。嫉妬。後悔。恋心。そして旅の終わりに待つ、意外な結末とは――。

 隠された想いを巡る、青春ミステリ。」

公式サイトより抜粋

 

感想

 素直に伝えることの出来ない想いが重なり合ったりすれ違ったりして生きている主人公達はとても人間くさく10代後半の子供でもなく大人でもない、若者達の描き方にとても好感が持てました。

  亡くなってしまった恵太君への想いを、ケイ君にぶつけることによって、個々の気持ちを昇華していくオーソドックスなお話ではあるのですが、だからこそ共感出来るのではないでしょうか。

  とくに舜と大輝のお話は男の子特有の不器用さが描かれていて、かわいらしくそして愛おしく感じます。亡くなった恵太君も二人に負けず劣らず不器用な生き方をしていたと思いますが…

  結論は最後の2ページに全て凝縮されているのですが、やはり死んだ後では無くて生きているときに言ってもらえた方が断然嬉しかったと思います。人間なかなか素直になれない難しい生き物ですね。

  ほろっと泣けて温かい気持ちになれるそんな素敵なお話でした。